遺言執行者について そのA

遺言執行者の責務について

 

 遺言執行者に就任した場合、遺言執行者は相続人に対して以下の義務があります。

 

◎遺言執行者が就任を承諾したとき

 

 ・遺言執行者に就任した旨の通知(民法1006A)
 ・遺言の内容の通知(民法1007A)
 ・相続財産目録の作成と交付(民法1011@)

 

◎任務が完了したとき

 

 ・保管・管理物の相続人への引渡し(民法646@準用)
 ・遺言執行事務終了の通知(民法645@準用)
 ・顛末の報告(民法645@準用)

 

遺言執行者は辞退することもできます

 

 上述のとおり、遺言執行者にはさまざまな責務があります。
 その責務が煩わしく、また難しいと感じられる方も多いと思います。
 そのような場合には、遺言執行者に選任された方は、遺言執行者に就任することを辞退することができます。(民法1006B)

 

 

就任後の遺言執行者の辞任

 

 遺言執行者に一度就任をすると、「やっぱり難しそうだからやめたい」と思っても、辞任するためには、家庭裁判所へ「遺言執行者の辞任許可の申立」(民法1019A)を行う必要がありますので、就任するかどうかは慎重にご検討ください。

 

 

遺言執行者の復任権について

 

 就任後、遺言執行の手続きを行ってみて、難しいと感じられた場合、遺言執行手続きを第三者に自己の責任で委任することができます。(民法1016@)

 

 

 このように遺言執行者には様々な責務がありますので、遺言書を作成されるみなさまも、サポートをさせていただく私たちも、ご家族との関係性などをきちんと把握したうえで、遺言執行者を遺言書で選任しておいたほうがよいのか、慎重に見極める必要があります。

 

 また、選任された方も、就任するのか、辞退するのか、慎重にお考えください。

 

 結果として辞退され、遺言執行者が誰もいなくなった場合、遺言執行の手続きは、相続人の方が全員で協力して行うことになります