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◆その他のトピックス@ 成年後見制度利用促進事業に関する考察

成年後見制度の利用促進について

 

 平成28年5月13日に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行され、市町村は国が定める成年後見制度利用促進基本計画を勘案し、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な市町村計画を定めることと、成年後見の実施機関の設立等を行うことになりました。(計画の策定期間は平成29年度から令和3年度の5年間)

 

 「中核機関」を設置し、その根拠を示すための「市町村計画」を立てることがとりあえずの目標で、名目上は「努力規定」なのですが、実質的には「義務規定」と考えられ、各自治体が対応に苦慮されているものと思われます。

 

 また、平成29年3月24日に閣議決定された国の基本計画では、行政だけでなく地域住民、地域の関係者・関係機関が参画し、表面化しにくい権利擁護支援の必要性をどのように早期に把握し、どのように支えていくのかを「地域連携ネットワーク」として構築していくことが求められています。

 

 当事務所は前職が市役所の職員であり、障害者や高齢者の支援に携わっていた時期もあったことから、行政の中核機関の設置や市町村計画の策定、最終的な目標である地域連携ネットワークの構築に関することや、今後、チームの一員として行政書士個人が、またチームを支援していく協議会と行政書士会がどのように関わっていくかなどを併せて考えていければと思っております。

 

 ほとんどが「成年後見制度の利用促進を目的とした市町村計画策定支援のための調査研究事業検討委員会様」が作成し、一般に公開されている「市町村成年後見制度利用促進基本計画策定の手引き」のままですが、相当なボリュームであるため要点を整理し直し、まとめてみました。

 

 あくまで一個人としての見解ですので、行政の担当職員の方や、コスモス成年後見支援センターの行政書士のみなさまの参考程度に留めておいていただければ幸いです。

 

 

◆その他のトピックス@ 成年後見制度利用促進事業に関する考察記事一覧

最終的な目標 平成29年3月に閣議決定された国の基本計画では、行政だけでなく地域住民、地域の関係者・関係機関が参画し、表面化しにくい権利擁護支援の必要性をどのように早期に把握し、どのように支えていくのかを「地域連携ネットワーク」として構築していくことが求められています。最終的にはこのようなネットワークが出来上がることが目標となります。地域連携ネットワークとは? 全国どの地域においても、必要な人が、...

チームとは まず最初に、本人に一番近い支援者の集まりである「チーム」について見てみたいと思います。 日常的に生活のしずらさを感じている方を見守り、本人の意思や状況を継続的に把握し、協力して必要な対応をする仕組みで、本人に身近な親族や福祉・医療・地域の関係者に後見等開始した後は後見人が加わります。チームの構成メンバーの例 家族・親族、主治医、介護支援専門員、相談支援専門員、生活保護ケースワーカー、保...

協議会とは 次は、地域連携ネットワークの2つめの要素としての「協議会」について見てみたいと思います。 後見等開始の前後を問わず、先ほどの「チーム」に対して法律・福祉の専門職団体や関係機関が必要な支援を行えるよう、各地域において、専門職団体や関係機関が連携体制を強化し、自発的に協力する体制作りを進める合議体です。→各機関の実務者の会議というイメージでしょうか? この協議会では、後ほど説明する中核機関...

中核機関とは 次は地域連携ネットワークの3つめの要素である「中核機関」になります。 専門職による専門的助言などの支援の確保や、協議会の事務局など、地域連携ネットワークのコーディネートを担う機関です。 市町村等が設置している「成年後見センター」や「権利擁護センター」など既存の取組みも活用しながら、市町村が整備、その運営に責任を持つことが想定されています。→市町村の直営又は委託中核機関の役割 様々なケ...

中核機関の整備のパターン 中核機関の整備のしかたについてはいくつかのパターンがありますので考察してみたいと思います。(パターン1から5は計画策定の手引きより)パターン1 委託先の成年後見支援センターに単独でその機能を持たせる方法パターン2 委託先の成年後見支援センターと委託元の行政が共同で持つ方法パターン3 地域包括支援センターの中に成年後見支援センターを整備し、中核機関の機能を持たせる方法パター...

 地域連携ネットワークの3つの要素である「チーム」、「協議会」、「中核機関」について確認ができたところで、成年後見制度の利用の促進に関する施策として「市町村計画」を立てるための理解を深めていきましょう。市町村計画の目的 誰もが住み慣れた地域で、地域の人々と支えあいながら、尊厳をもってその人らしい生活を継続できること。市町村計画の目標 必要な人が、成年後見制度を、本人らしい生活を守るための制度として...

成年後見制度利用促進基本計画を単体で作成するパターンの例1.○○市(区町村)成年後見制度利用促進基本計画の策定の策定にあたって(1)計画策定の趣旨(2)計画の位置付け(3)計画の対象期間(4)計画策定体制について2.現状と課題現状その1 成年後見制度利用者数、高齢化率、要支援者数、障害者数、日常生活自立支援事業利用者数、成年後見制度関連施策の実施状況(市町村長申立数、成年後見制度利用支援事業の実施...

 他の計画と一体的に策定する場合、上位計画である地域福祉計画に盛り込む場合と、同格である部門別計画の高齢者福祉計画・介護保険事業計画、障害福祉計画と一体的に策定する場合などが考えられます。地域福祉計画の各々の章に成年後見制度利用促進基本計画をバラして組み込むパターン地域福祉計画 第1章 地域福祉計画策定にあたって     →成年後見制度利用促進基本計画(以下基本計画)の位置づけ 第2章 ○○市の地...

市町村計画策定の担当課は?@どの課が主担当になったとしても、関連する部署全体で取り組みます 私見ですが高齢者支援担当が中心となって担うのがいいように思います。在職中、市長申立ての件数が障害者部門より高齢者部門のほうが圧倒的に多かったことがその理由です。 既に設置済の自治体のアンケートによりますと、やはり高齢福祉部門が多く (53自治体)、それ以外では地域福祉 (35自治体)、福祉総務等 (31自治...

計画策定に向けた合議体の設置方法既に設置済の自治体のアンケート結果によりますと…他の計画策定のための審議会等を活用→46%体制整備の合議体と一体的に設置→37%計画策定のために設置した合議体→15%内部要綱による設置→50%条例に基づく審議会設置→32%地方自治法に基づく付属機関として設置→9% 参画メンバーとして、成年後見制度に関する専門職団体等(弁護士、司法書士、社会福祉士等の職能団体)を挙げ...

まとめ 繰り返しになりますが、今回の成年後見制度の利用促進に関する動きは、行政だけでなく地域住民、地域の関係者・関係機関が参画し、表面化しにくい権利擁護支援の必要性を早期に把握し、支えていく「地域連携ネットワーク」を構築していくことが最終的な目標となります。 地域連携ネットワークには3つの構成要素がありました。 どこの市町村でも高齢者や障害者の支援に際し、形は色々あると思いますが、関係機関が連携し...

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